既報の通り、Firefox ESR60以降のバージョンではPolicy Engineという新しい設定の集中管理のための仕組みが導入されます。
先の記事ではJSONファイルを使ってポリシーを定義する手順を紹介しましたが、Policy EngineはActive Directoryのグループポリシー定義にも対応しています。
Mozillaの外部プロジェクトとして公開されているポリシーテンプレート1をダウンロードして、ドメインコントローラの C:\Windows\SYSVOL\domain\Policies\PolicyDefinitions
配下に各ファイルを配置すると、グループポリシーの管理画面上で「コンピューターの構成」および「ユーザーの構成」の「管理用テンプレート」配下にFirefox向けの設定項目が表示されるようになります。
一部のポリシー設定は名称が「Disable(無効化する)」「や「Block(遮断する)」となっており、「有効」「無効」の意味が直感的な意味と反転しています。このようなポリシー設定では「有効」は「対象の機能を無効化する・遮断する」、「無効」は「無効化しない・遮断しない(=対象の機能を有効化する)」という意味になりますので、誤解したまま運用しないように注意して下さい。
Firefoxの設計上は、同じポリシーがユーザー向けとコンピューター向けの両方に設定されていた場合、ユーザーに設定されたポリシーよりもコンピューターに設定されたポリシーの方が優先的に反映されます。例えば「Block About Config(about:config
へのアクセスを遮断する)」というポリシーについて、ユーザー向けのポリシーで「有効(about:config
を遮断)」と設定していても、コンピューターのポリシーで「無効(about:config
を遮断しない)」と設定していると、このポリシーは「無効」と扱われ、about:config
は各ユーザーの環境で使用可能になります。前項の点と併せて、誤解の無いようにくれぐれも注意して下さい。
なお、2018年3月23日時点で公開されているのはWindows Server 2008以降で使用できるadmx形式のファイルのみです2。Windows 2003 ServerをドメインコントローラとしてActive Directoryを運用している場合には、上記のポリシーテンプレートを参考にadm形式のポリシーテンプレートを作成するか、もしくは前の記事で解説しているJSONファイル形式でのポリシー定義を各クライアントに配布する方法を取る必要があります。