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短期前払費用による節税

はじめに

短期前払費用というものによって節税する方法があります。先日、クリアコードのサービスがそれに該当するのかという問い合わせがありました1。そこで短期前払費用とは何か調べてみましたので紹介します。

短期前払費用による節税について

短期前払費用による節税とは、1年以内の短期前払費用については、収益との厳密な期間対応による繰延経理をすることなく、その支払時点で損金算入を認めるというものです。これは企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるということです。

つまり、短期前払費用は条件を満たせば、支払時点で損金算入できるので、利益が減り節税になります。

短期前払費用を損金算入するための要件

短期前払費用を支払時点で損金算入するには以下の要件を満たす必要があるようです。

一定の契約に従って継続的に提供を受ける役務の対価であること

等量等質のサービスがその契約期間中継続的に提供されなければなりません。

例:土地建物の賃貸借、工業所有権その他の権利の資料、金銭の借入

役務の対価であること

前払費用≠前払金

前払費用は、役務すなわちサービスの提供に対する対価の前払いであるから、物の購入とか生産に対する対価の前払いである前渡金、手付金などはこれに該当しません。

翌期以降において時の経過に応じて費用化されるものであること

ランニングベースによる使用料の前払い分は前払費用となります。

実際に支払ったものであること

未払いの前払費用はありえません。

重要性の原則(重要性が低いこと)

重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができます。つまり、重要性の高いものは経過勘定項目として処理しなければなりません。

収益の計上と対応させる必要がないこと(重要性の原則と同じ)

収益の計上と対応させる必要があるものについては適用されません。

参考: No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合|法人税|国税庁

短期前払費用として認められるもの、認められないもの

短期前払費用の要件についてその理解を深めるため、短期前払費用として認められるものと認められないものについて具体例を調べます。

国税庁通達

国税庁の質疑応答事例に具体例があります。

短期前払費用の取扱いについて|法人税目次一覧|国税庁より:

事例1

期間40年の土地賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の地代月額1,000,000円を支払う。

事例2

期間20年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(4月から翌年3月)241,620円を3月末に前払により支払う。

事例3

期間2年(延長可能)のオフィスビルフロアの賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の家賃月額611,417円を支払う。

事例4

期間4年のシステム装置のリース料について、12ケ月分(4月から翌年3月)379,425円を3月下旬に支払う。

事例5

期間10年の建物賃借に係る賃料について、毎年、家賃年額(4月から翌年3月)1,000,000円を2月に前払により支払う。

このうち、事例1から4はOK、事例5はNGとなります。

判例

札幌・税理士の 税理士 溝江諭 KSC会計事務所 札幌 -お知らせ-によると、みえみえの税金対策で、金額が税前利益に対してあまりに多い場合、重要性が高いと見做され、否認されることがあるようです。

等量等質で時の経過に応じて費用化するもの、しないもの

では、どのような費用が等質等量で時の経過に応じて費用化するものとされるのでしょうか。

費用化しないもの

費用化しないものは以下のようなものです。

顧問料(税理士費用など)

特定のサービスをその時々(必要に応じて)に受けるので、サービスが等量でないと判断されます。

雑誌の年間購読料

本の代金なので役務の対価ではありません。物品対価の前払金です。

雑誌広告(毎月2回、1ページ)の年間掲載料

雑誌発行につき1回が単位となるので、時の経過とは関係ありません。

費用化するもの

費用化するものは以下のようなものです。

Webページ広告や看板

24時間365日掲載といった類のものは、時間経過とともに継続的に等質等量・定質定量の役務提供を受けているといえます。

短期前払費用に対応するサービスはあるか

クリアコードのサービスで短期前払費用として処理できるものがあるか検討してみます。

収益の計上と対応させる必要がないことが要件となるので、ユーザ企業で社内利用する何かに対するサービスとなります。 Mozilla FirefoxやThunderbirdのサポートサービスならユーザ企業内で利用するものなのでよさそうです。

ではサービスの中身が等質等量で時の経過に応じて費用化するかどうかですが、これは満たせそうにありません。

クリアコードのサポートサービスはログを解析したりパッチを開発したりとサービスの提供方法は様々で、サービスの提供量も問合せ内容や、問合せの数によって変化します。そのため、税理士費用と同じく等質等量とはいえないでしょう。

よって、いまのところクリアコードには短期前払費用として処理できそうなサービスはなさそうです。

まとめ

クリアコードのサービスが短期前払費用の要件を満たすかどうか調べることが目的でしたが、自社で経費を短期前払費用として処理する際にも使えそうです。以下の要件を確認して正しく経理処理したいものです。

  • 収益の計上と対応させる必要がないこと
  • 等量等質で時の経過とともに費用化すること
  1. 消費税増税法案が可決されたことから、今後、費用を前払いしたいという話が増えるかもしれません。