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DebConf20でバグトラッキングに関する発表をしました

はじめに

クリアコードの林です。ククログでDebian関係の記事をときおり書いています。 今回は、DebConf20で発表する機会があったのでその内容を紹介します。

DebConfについて

DebConfとは、年に一回Debian開発者があつまるカンファレンスです。1 今年はCOVID-19の影響もあり、イスラエルでの開催は見送られ、オンラインでの開催となりました。 来年以降は2021年にイスラエル、2022年にコソボ、2023年はインドでの開催予定となっています。

An experiment about personalized front-end of bugs.debian.org

本発表は、Debianのバグトラッキングシステム(bugs.debian.org)に関連した内容です。 bugs.debian.orgの歴史は古く、やりとりはメールをベースとしています。そのため、バグの状態を変更するのもメールを送ります。2

バグ報告や、バグを検索したりするのには bugs.debian.orgの検索用のインターフェースがありますし、他にもいくつかパッケージを普段メンテナンスしている人向けのサービスは充実しています。

  • Developer's Packages Overview メンテナンスしているパッケージのビルド状態やLintianの結果など品質の観点で一覧できるのが便利。

  • Bugs search 各種フィルタを適用してバグを検索できる。例えば、Release Criticalなバグを表示するのに便利。

  • Maintainer dashboard メンテナー向けのダッシュボードを提供。Todo Listを表示してくれるのが便利。

  • Debian Package Tracker 特定のパッケージの更新をメールで追いかけたいときに便利。

しかし、自分がとくにメンテナンスしていないパッケージの特定のバグを直したり、その後のバグの状態を追いかけたりするのがやや手間に感じていました。 そこで、既存のメールのアーカイブやudd.debian.org(Debianに関する各種データをあつめているデータベース)から取得できるデータや、インストール済みパッケージの情報などを組み合わせる実験をしてみました。(インストール済みパッケージの情報についてはpopconの既存の仕組みを流用するようにしてみました。popconがどのようなデータをサーバーに送るのかについては、Debianパッケージ利用調査に参加するとどうなるのか?として記事を書いているのでそちらを参照してください。)

これにより、Debian unstable(Debianの開発版)を普段使いつつ、バグを直したり、その後の状況を追いかけたり、影響を受けそうなバグに気づけたりする仕組みを実現できないかというのが発表の趣旨です。

いろいろと今後の改善点はありますが、Q&AやIRC(#dc20-talks)を見る限りでは、おおむね好意的な反応が得られました。(似たような取り組みを10年くらい前にやった人もいたようです。また、サーバーのリソースが必要なら調整してもらえそうな感触が得られました。)

発表したときの録画内容3は、後日DebConfのビデオのアーカイブサイトもしくは、YouTubeのDebConf Videosチャンネルでおそらく公開されるはずです。過去のDebConfのアーカイブもあるので、そちらも見てみると新たな知見が得られるかもしれません。

まとめ

今回は、DebConf20がオンラインで開催されたこともあり、発表者として参加することにしました。 DebConf20は29日までの開催となっています。日本時間だと19:00ぐらいから翌朝までの時間帯なので参加しにくいものもありますが、ぜひスケジュールを確認し興味があったら参加してみてください。

  1. Debianパッケージの設定に関連した debconf(1)というのもありますが今回は関係ありません。

  2. コントロールコマンドをメール本文に記述します。

  3. 今回は事前に録画編集したものを提出して、それを発表時間に流してもらう形式でした。Q&Aの時間にJitsiでやりとりしたり、Etherpadで記録を残すというのもありました。